しんごのキになる話⑩ すごい植物たちの巻(フィボナッチ数列 その3)

互生は一つの節から一枚の葉が出ますが、最初の葉を基準とすると、次の葉(一枚目)は茎をらせん状に回ってある角度を持って出てきます。 その次の葉(一枚目)の出る角度が180度であれば、その次の葉(二枚目)は元の葉の真上につきます。同じように三枚目の葉が一回転して一枚目の葉の位置にくるものもあります。 そして互生の葉の生え方は、五枚目の葉が茎を二回転して元の葉の位置にくるもの、8枚目の葉が茎を3回転して元の位置にくるものなどがあるのです。 これを分数の、回転数/葉の数で表すと次のようになります。 最初の葉の次の葉を一枚目として数え、茎を何回転して最初の葉の位置に来るかを分数で表します。 分数の分子に元の位置にくるまでに茎を回った回数、分母に最初の位置にくるまでの枝の本数を入れます。すると分子も分母もフィナボッチ数列に従うのです。   何を言いたいのかちょっとわかりにくいですね。 茎を一回転すると360度ですから1/2の場合は隣り合う葉との角度は360度÷2で180度、 1/3は360度÷3で120度、2回転する2/5は(360度x2回転)÷5で144度の開きとなり、 3/8は(360度x3回転)÷8で135度、5/13は(360度x5)÷13で139.23度、、、、となり、最終的には隣あう葉の確度は137.5度の開きとなります。 これは太陽の光を最も効率よく受けるように植物が戦略を練っているのです。 この137.5度というのは黄金比と関係あるのです。 黄金比とは長方形の縦と横の割合で一番美しく調和のとれた比率のことです。 これはフィボナッチ数列の後ろの数字を前の数字で割って求められる1.618のことです。 つまり、360度を1.618で割ると222.5度になりますが、これを小さい方の確度(360度―222.5度)は137.5度となります。これがもっともバランスのとれた角度なのです。 植物が難しい数列や黄金比を用いているなんですごいことですよね。   (フィボナッチ数列 その4 に続く)

しんごのキになる話⑨ すごい植物たちの巻(フィボナッチ数列 その2)

この数列を「フィボナッチ数列」と言い、動物や植物たちの成長に応用されているのです。 植物でいえば例えば花びらの数です。花びらは三枚から始まるものが多いですよね。 そしてその他の花びらの数も大体決まっているのです。 ユリ サクラ コスモス マリーゴールド マーガレット デージー ガーベラ 3枚 5枚 8枚 13枚 21枚 34枚 55枚 私が朝の散歩で見かける草花の花びらも5枚が多いのです。 しかし、花びらが4枚、7枚、11枚、18枚の草花もあります。 これらはフィボナッチ数列から外れています。これらもある数列に従っているのです。 それは、フィボナッチ数列の最初の数字の1を2に変えると規則性が出来るのです。 2、1、3、4、7、11、18、29、、、、、となるのです。 これはリュカ数列と呼ばれる数列です。 そして、茎につく葉の位置もフィボナッチ数列に沿っているのです。 葉は植物が生きて行くための栄養をつくる光合成をおこないます。そのために光がより多く当たるように葉の位置を少しずつ変えていきます。その葉のつき方は「葉序」と呼ばれます。 対生は茎の一つの節から二枚の葉が向かい合って出る形式です。 そして次の節で90度回転してまた一対の対生の葉がつけば、上から見ると十字架に見えます。 でも、これは別に「ダ・ビンチ・コード」の続きではありません。 (フィボナッチ数列の項 その3 へ続く)

しんごのキになる話⑧ すごい植物たちの巻(フィボナッチ数列 その1)

「1123581321」という数列をご存じでしょうか? この数列は小説「ダ・ヴィンチ・コード」にも出て来るのです。 「ダ・ヴィンチ・コード」のあらすじはルーブル美術館の館長が殺され、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品であるウィトルウィウス的人体図、モナ・リザ、岩窟の聖母マリア、最後の晩餐に絡む謎の解明に始まりキリストの子孫の存在、それを守る修道会の話へと続くものです。 その謎を解くアメリカの大学教授役を映画ではトム・ハンクスが演じていました。 「1123581321」という数列は殺された館長の貸金庫を開ける時に使われていた暗唱番号なのです。この数列はある規則性に基づいて並んでいるのです。 「1123581321」、これは分解すると1、1、2、3、5、8、13、21となります。 そうなのです、前の二つの数字を足した数字が次の数字になるのです。 1+1=2、1+2=3、2+3=5、3+5=8、5+8=13、8+13=21です。 これは延々と続けることが出来ます。「1、1、2、3、5、8、13、21、34、54 、、、」 え、それが植物の話と何の関係があるかですって。それは次号のお楽しみということで。 (フィボナッチ数列の項 その2 へ続く)

しんごのキになる話⑦ すごい植物たちの巻(黄葉紅葉 その4)

すみません、説明が長くなりました。 黄葉と紅葉はなぜ起こるかでした。 葉に含まれるアントシアニンとカロテンは落葉一歩手前の黄葉、紅葉に関係してくるのです。 イチョウは秋に黄葉します。 これはイチョウの葉が緑色の時にすでにカロテンの黄色の色素が作られているのですが、濃い緑色のクロロフィルに隠されてしまっているのです。 秋になり気温が低くなりクロロフィルが減ってくると隠れていたカロテンが目立ってくるので黄葉するのです。 一方、アントシアニンはカエデが赤く色付くときの色です。 カエデは緑色の葉っぱの時には赤い色素がないのですが、秋になり夜と昼の寒暖差が大きくなり、空気が澄んで太陽の紫外線が強くなると葉っぱからクロロフィルが減りアントシアニンが発生して赤くなっていくのです。 また、紅葉するためには高い湿度が必要です。乾燥すると葉っぱが老化してしまうからです。 ですから紅葉の名所は寒暖の差が激しく、空気がきれいで、紫外線がよく当たる場所になるのです。「日本三大紅葉の里」といわれるのは京都の嵐山、栃木の日光、大分の耶馬溪(やばけい)です。 植物は動物よりも先にこの地球上に現われた生物です。 動物のように動いて食べ物を探したりしません。 しかし、世界のあちこちで、環境に適応し、成長し、身を守り、花を咲かせ、実を生らせ、種をつくって次の世代に引き継いでいきます。 植物は動かなくても自分で栄養を作ることが出来るのです。 動き回る動物は植物を食べなければ生きていけません。 肉食動物といえども植物を食べる草食動物を食べて生きているのです。 植物はすごいです。私は当分、この植物のすごさに取りつかれそうです。   =走り読みした図書= 「植物はすごい」  田中修 著 中公新書 「植物学「超」入門」 田中修 著 サイエンス・アイ新書 「葉っぱのふしぎ」  田中修 著 サイエンス・アイ新書 「面白くて眠れなくなる植物学」 稲垣栄洋 著 PHP研究所 「これで納得!植物の謎」 日本植物整理学会 編 ブルーバックス(講談社) (黄葉紅葉の項 おわり)

しんごのキになる話⑥ すごい植物たちの巻(黄葉紅葉 その3)

アントシアニンはツユクサ、キキョウ、ペチュニアなどの青い花にも含まれています。 ちなみに三大切り花と言われる「バラ、キク、カーネーション」には青い色の花がありませんでした。 しかし最近の遺伝子工学で青いカーネーション、青いバラが作られて販売されているのです。 「青いバラ」という言葉にはかつて「不可能、ありえないこと」の代名詞でしたが、青い色をつくるアントシアニンがパンジーから取り出されバラに入れられ青いバラ「アプローズ(拍手喝采)」という商品名で2009年から売り出されています。その花言葉は「夢かなう」です。 カロテン(ドイツ語読みはカロチン)は赤や、橙(だいだい)、黄色の色素です。 キクやタンポポ、マリーゴールド、そしてナノハナの黄色い花に含まれます。 人参(Carrot)の橙色の元でもあり、Carrotがカロチンの語源となっています。 卵黄や乳製品の黄色もこのカロテンの色素が入っているからです。 ヒトやニワトリの黄色脂肪もこの植物のカロテンの脂肪が溜まったものです。 アントシアニンは水に溶けますが、カロテンは水に溶けだしてきません。   (黄葉紅葉 その4 につづく)

しんごのキになる話⑤ すごい植物たちの巻(黄葉紅葉 その2)

植物は太陽のエネルギーを使って光合成を行いますが、太陽エネルギーの三分の一くらいしか利用できないのです。その使われない太陽エネルギーは葉っぱを通して植物の体のなかに溜め込まれて活性酸素が生れてしまうのです。 その活性酸素を失くすための物質を抗酸化物質と呼び、植物はその抗酸化物質を作ることができるのです。それらはビタミンC、ビタミンEです。そして、ヒトは植物が作ったビタミンCやEの含まれている野菜や果物を食べて活性酸素を除去しているのです。 ビタミンC、E以外にも植物が作る抗酸化物質にはアントシアニンとカロテン(カロテノイドの一種)という花びらを美しく装う二大色素があります。 アントシアニンは抗酸化作用をもつポリフェノールの一種で赤い色や青い色の花に含まれます。 なお、赤ワインで有名なポリフェノールは実に入っているカテキンです。 カテキンはワインの他にお茶、リンゴ、ブルーベリーに多く含まれ、殺菌作用を始め、血中コレステロールを低下させたり、高血圧を予防したりといった効果があります。 アントシアニンはバラ、アサガオ、シクラメン、サツキ,ツツジ、ブドウの皮などの赤い色素なのです。 そしてハイビスカスにも含まれているのです。 ハイビスカスはマレーシアでは国の花、ハワイでは歓迎の花ですが、沖縄では仏桑華(ぶっそうげ)と呼ばれ亡くなったヒトの後世の幸福を祈ってお墓に植えられています。 アントシアニンは水に溶けるのでハイビスカスを使ったティーをクレオパトラも愛飲したと言われます。赤ジソ、サニーレタス、ムラサキキャベツ、ムラサキタマネギにも含まれていて比較的短期間で作用しますが長期間の効果は持続しないので、毎日こまめに摂取する必要があります。 (黄葉紅葉 その3 につづく)

しんごのキになる話④ すごい植物たちの巻(黄葉紅葉 その1)

「落葉」の次は「黄葉・紅葉」についてです。 インドネシアなど南洋の花には鮮やかな色をしたものが多くあります。 そこで気になることがあります。 どうしてあれほど鮮やかな赤や青い花を咲かせるのでしょう。 熱い太陽の下で生きて行くためにでしょうか? そうなんです。それは強い紫外線によって発生する活性酸素への対策なのです。 紫外線が活性酸素というヒトに有毒な物質を発生させることをご存じと思います。 活性酸素は酸素とは名がついていても、ヒトの細胞を痛め、シワ、シミ、皮膚ガンの発生に影響し、老化を促進し多くの病気の原因となる有毒な酸素なのです。 活性酸素の代表はスーパーオキシドと過酸化水素です。 その活性酸素はヒトばかりか植物の細胞まで傷つけてしまうのです。 強力な除草剤「パラコート」を薄めて葉っぱに噴霧するだけで植物は枯れます。 これはこの農薬が毒性を持つスーパーオキシドという活性酸素を発生させるためです。 当然ヒトにも有害で、微量でも飲んでしまうと呼吸困難に陥り、命は失われます。 また、消毒薬「オキシドール(商品名オキシフル)」には活性酸素の過酸化水素がわずか3%含まれています。傷口の細菌を殺すのはこの活性酸素の過酸化水素のはたらきなのです。 活性酸素には体に良い働きもするのです。それは体内に侵入した細菌などを取り除く働きです。 白血球やマクロファージなどの「免疫機能」の一部として細菌などを攻撃するのです。 (黄葉紅葉 その2 へ続く)

しんごのキになる話③ すごい植物たちの巻(落葉 その3)

また落葉するには成長ホルモンのオーキシンという物質が減少するだけでなくエチレンという成熟ホルモンが影響しているのです。 エチレンは成長ホルモンであるオーキシンが茎の中を移動するのを阻害したり、離層の細胞に働いて細胞と細胞の接着を弱める酵素の合成を促すのです。 この酵素の働きで離層の細胞間の接着が弱まり外から力が加わると簡単に葉が離れてしまうのです。つまり、気温が下がると老化が始まってオーキシンの合成が止まり、離層組織でエチレンの合成が始まり、実や花が落ちていくのです。 これは葉の先の方からオーキシンを与え続けると低温になっても落葉しないのですが、エチレンを与えると若い葉でも落葉してしまうという実験からわかります。 その成熟ホルモンのエチレンが実用化されているのはバナナやアボカドなどの成熟工程です。 バナナやアボガドは産地が遠いので消費地までの輸送期間を考慮して、まだ熟さないうちに収穫をし、船に積みます。そして船倉でエチレンガスを充満させて酵素の働きを促進させて熟すので青いバナナが黄色いバナナとなってお店で売られているのです。 エチレンはそのほかにアイリス、スイセン、フリージアなどの球根の休眠打破と花が咲くための促進や茎を肥大させる効果を利用してモヤシの栽培にも使われています。 また、野菜や果物を置いておくと腐食していくのも自ら発生させているエチレンのせいなのです。 南方の葉っぱは冬が来ないので一斉に紅葉して散ることはないようです。 順番に離層を作って散っていくようです。 でも、道路に落ちている枯れた葉っぱの数が多いのは雨季から乾季に移行しつつあるためででしょうか、それとも私が自分の年齢とともに落ち葉を意識して見るようになったからでしょうか。 (落葉の項 おわり) =走り読みした図書= 「植物はすごい」   田中修 著 中公新書 「植物学「超」入門」 田中修 著 サイエンス・アイ新書 「面白くて眠れなくなる植物学」 稲垣栄洋 著 PHP研究所 「これで納得!植物の謎」 日本植物整理学会 編 ブルーバックス(講談社)

しんごのキになる話② すごい植物たちの巻(落葉 その2)

オーキシンは葉の成長に大きく関わっているのです。 発芽して成長する植物は茎の先端にある芽(頂芽)が伸びていきます。しかし、頂芽だけでなくすべての葉っぱの付け根には側芽があります。 通常は頂芽だけが伸びていきますが、頂芽が動物に食べられたりした時は側芽が頂芽となって伸びていくのです。この現象は頂芽で作られるオーキシンという物質によって支配されます。そして、それを「頂芽優勢」と呼ぶのです。 離層ができる場所は植物によって異なり、一カ所とは限りません。 例えば、サクランボは花梗の先端と付け根の両方に離層ができます。 サクランボは本来、実と果柄の間の離層で離れる方が、鳥が実を食べやすく、タネを遠くに運んでくれるので子孫を増やすためには有利なのです。 しかし、ヒトは花梗付のサクランボを好むので食べられない花柄を残すように栽培してきたのです。 花梗とは花をつける柄(え)のことです。別名「花柄(かへい)」。種類によって柄の長短はさまざまです。 花から実になると「果梗(かこう)」に名が変わります。 ミカンやオレンジそしてカキなども果実とガクの間に離層があり、本来は実が熟するとガクを枝に残したままのガクなしミカンやカキができるのです。 しかし、これもガクなしのミカンやカキは市場価値がなく売れないので、ヒトはガクの離層を遅くするよう改良し育ててきたのです。 (落葉 その3 へつづく)

しんごのキになる話1 すごい植物たちの巻(落葉その1)

かつてインドネシアに在住しておられたビジネスマンのシンゴさんが、長年に亘って書き留めたエッセイ集の中から一部を厳選してをお届けします。お楽しみください。 ーーーーーーーーーー インドネシアに暮らしていて「木」のことが気になりました。 朝の散歩では雑木林の中で様々な形をした木々を眺め、住宅地では庭木や草花を見ながら歩きます。木々や草花はいつも緑の葉っぱをつけています。 日本のように一面の紅葉となる時はありません。どうして?秋や冬がないから? じゃあ、緑の葉っぱは休みなく光合成をしているの? じゃあ、暑い国の葉っぱはいつ、どうやって落ち葉になるの? また、果物は雨季と乾季のどちらに花を咲かせ、実をつけるの? などなどの小学生並みの疑問を持ち、植物に関する本を何冊も走り読みしました。 びっくりしました。   日本で秋に落葉するのは、葉っぱが自分から働きかけて枝から離れ落ちて行くからです。 感動しました。 葉っぱは春から働き詰めです。 光合成で二酸化炭素と水分と、太陽エネルギーからデンプンを作り酸素を産出します。また、タンパク質や脂質も自分で作ります。それは本体の成長や子孫を残すためです。 身につまされました。そんな働き詰めの会社員のような葉っぱは冬になるとその活動が衰え自分の役割が終わるのを知るのです。 役割が終わるのを知った葉っぱは蓄えたデンプンなどを樹木の本体に戻します。 そして、またまたびっくりし感動しました。 栄養を本体に送り返した葉っぱは、幹や枝と繋がっている付け根部分に本体と切り離す層を作るのです。その層を離層と言います。 そして離層の部分で葉っぱは自ら本体と切り離し落ちて行くのです。 潔いですね。 葉っぱの引き際。涙が出ます。 この作業は葉っぱに含まれるオーキシンという成長ホルモンが寒くなることにより活動を止めていき、エチレンという成熟ホルモンがそのオーキシンの老化を促すからなのです。 (落葉 その2 につづく)