フランスあれこれ64~バゲットは主食か副食か?

 こんな議論を思い出します。日本では米(ごはん)は主食と言われていますが、これは果たして現在も通用するのかどうか少々疑問があります。フランスではパンは主食や否や?答えは「ウイ!メ・ノン!」(Yes, but No!) 先ずはフランスパンの想い出を少し。サラーリーマンの帰宅時間、メトロ(地下鉄)の中で長いバゲットを片手に満員電車に揺られています。時々パンの隅を折り取って口に入れます。お腹がすいたのでしょうか、焼き立てのパンの誘惑に駆られています。家に帰りつくまでになくなるのでは?とはた目に心配したものです。 またある日、丁度学校が午前中で終わって帰宅の途中、ご近所の子供(小学校5~6年生くらい)と出会いました。いつもの調子で「こんにちは、坊や」と声を掛けた時です。この坊や、片手に教材、反対の手にバゲットパンを持っていたのですが、何の懸念も持たずバゲットを地面に置いて握手をしました。当時はワインはイエスの血、パンは肉体、決して汚れることはないと言われていました。 一流のレストランでメニューを選んで注文、ワインを選んで・・・ワインに見合ったグラスが出てデギュスタシオン(ワインの味見)、そのあとこっそりバゲットがテーブルの脇に出されますがお皿に載っていません。皆さん勝手気ままにつまんだり知らない顔で放置したり、決して一品の扱いではありません。 昔このサイトで投稿させて頂いた「ピエ・ド・コッション」(子豚の足という意味でレストランの名前)で最初に注文したのがオニオングラタン(スープ)。中央市場の一角という事もあって材料は残りものばかり。例えば牛や豚の骨でダシを取ったスープに乾燥して硬くなったバゲットパン、これにワインとチーズを溶かし込んだものです。立派な一品で味も上出来。しかしこれが家庭での立派な一品なのです。悪口を叩く人はこれは貧乏人の立派な一食だ!いや立派な主食だ! その昔フランスでは昼に立派な食事をして夜は軽食、その際の最適食事だった!なんて・・・・ こうなると矢張りフランスパン(バゲット)は主食かも!? (註)「ピエ・ド・コッション」の記事はこちらからご覧いただけます。https://bungeikan.heimnohiroba.com/writers/azuma/cafe-has-gone-in-paris-3-2-3/ (註2)右上の写真ですが息子がちょうど2歳になった頃の写真です。通りがかりのフランス人も日本人の子供を見るのが珍しいという雰囲気でした。アルバムでこの写真を見つけて上の話を思いついた次第です。

今日の散歩道~芙蓉・酔芙蓉

線状降水帯の長期停滞で、関東以西の各地は記録的な雨量となり、特に九州・中国地方では大変な被害が出ています。甲子園球場の高校野球も三日連続の順延となり、これは46年振りとか。 まだ今週末までは、警戒を継続しなければいけない状況ながらも、漸く雨も一休みとなり一息入れてるタイミングですが、夏の時期の代表的な芙蓉・酔芙蓉の花を紹介します。 *芙蓉 中国原産で日本では、室町期から鑑賞され、1日で枯れて仕舞う儚さから「美しい人のたとえ」に用いられた花で、美しくしとやかな顔立ちの事を「芙蓉の顔」と言うとの事です。 花色はピンクや白色の1日花です、そろそろ花 期も盛りが過ぎました(写真撮影は7月25日) *酔芙蓉 芙蓉より花の時期が3週間ぐらい遅れ、数日前から開花が始まったばかりです。夜明けに、こちらは八重咲きで開花します、花弁は白いが夕方に向けて徐々にピンクに変色し、翌日に花弁は萎み紅色に変色する。 色が変化するさまが、まるで酒に酔って顔が赤くなるのに似てるのが名前の由来と成った由。 雨も上がり、久々に気持ち良い散歩を楽しみました。 山仲春男

フランスあれこれ63~ニースの想い出

1964年東京オリンピックの年です。パリに赴任して約半年、内地勤務時代の上司がニューヨーク出張の後ヨーロッパに見えるという連絡が入りました。入社以来世話になった上司でもあり、どうせ週末の時間つぶしの観光だろうと推測していました。ところが到着するなり得意先をどこか訪問するところがないかと言われ、一度日本に来たことがある得意先に伺うことにしました。雑談の後ちょっと私共の意見を聞きたいものがあると言って夕食に招かれ、そのあと会社の研究室へ。出されたのが目下開発中だというブランディーのテイスティングでした。色々な植物の発酵アルコールです。どれも私の口が受け付けるものはありませんでしたが、我が先輩が色々コメントして実に楽しそうでした。遂に酔っぱらってホテルに帰るのも大変でした。  翌日週末を兼ねてと考えてマルセイユへ、一軒だけお邪魔したあと、予定通りニースにしようという事に決定、ホテルに部屋の予約電話をしますが何処も満杯空き部屋はありません。思い切って最後に電話したのが「ホテル・ネグレスコ」ニース最高のホテルです。ここで一部屋だけ見つかりやれやれ、部屋代を考えてまたやれやれの思いでした。夕食を駅近くで済ませ、暗くなってからチェックイン、荷物を置いてすぐに出掛けたのが近くのカジノです。私も初めてのカジノ経験でした。恐る恐るパスポートを提示して中に入り、10ドルをコインに交換。さっと一巡した後ルーレットの部屋に入ったのですが殆ど満席。暫く立ち見となったのですが、どこからか老人に誘われ少し席を離れたところで立ち話。要は先ほどのテーブルに座っている中年の男が負け続けて、この老人が見ている間だけでフォルクスワーゲン一台分は損をしたと。改めて本人を見た所、横に置いたウイスキーをちびちびやり続けながら、しかしよく見るとちょっと顔が引きつったような・・今に一発と踏ん張っているような・・この老人が私に言いたかった事はこんな賭け事に深入りすると人生を台無しにするという事だったらしい。それとなく話の意味を汲み取って「今日は見学だけです。今後日本からの観光を兼ねた来客を考えてのことです」と言い訳をして納得いただいた次第です。 一応の見学を終えてホテルに、どこかで賑やかな歌声が耳に入りました。ロビーでこれから地元の女子学生のダンスが始まるとのこと。色々なフォークダンスが次々と軽快な音楽とともに流れる中、頂くお酒も実にうまい、気分爽快でした。大体は老人ばかりの宿泊客ですが調子に乗って立ち上がりダンスの真似をしたり腰を振ったり・・・・大いに盛り上がったところで皆さんもご一緒に踊りましょうとのアナウンス。待ってましたとばかり皆さん立ち上がり参加します。我々若い日本人二人が取り残されるのも逆に恥ずかしい!とばかり思い切ってこれに参加。見様見真似のスタートでしたが、少しずつ調子に乗って・・腕を組んでは次にバトンする子供たちの可愛いこと、その子らのリードの実にうまいこと・・ やがて時間でお開きに。この時日本からの先輩の言葉「私が10歳、いや20歳若くしてこの経験をしていたらフランスに移民することを考えただろう」でした。  翌日も好天、早速ホテルの庭や昨夜のカジノを確認して散策、ホテルの目の前の海岸で早くも多くの人が日光浴、しかもほとんどの人がほとんど裸! (写真はネットで見つけたニースの写真と誰も私だと信じない私の当時の写真です。)

手拭いの暖簾(26)朝顔

大輪の朝顔が手拭い一杯に咲き競っています。 いくつもの色のグラデーションに本来ならゴテゴテした感じになりそうにも思えますが、何ともすがすがしく爽やかな気持ちにもなります。 結果私のお気に入りの一枚になりました。 手拭いの老舗、『かまわぬ』では伝統的な図柄や模様の手拭いが多かったのですが、この朝顔もそこの一品なのです。 時代の流れとともに人の好みも少しずつ変わっていきます。 今までの作品を踏まえた上で新しいものへ挑戦し作り出していくことでしっかりと伝統を守ることに繋がるのだと思います。 毎年種を取って植えていた朝顔ですが、昨年は狂ったようにたくさん咲き、種は取れませんでした。それで今年は5月13日に新しい種を蒔きました。そして丁度2か月、2輪咲いた大輪の一番花が写真です。 真南向きのベランダでは太陽光線が強過ぎて、夏の間ほかの草木は北側のベランダへ引っ越しをします。 ただ朝顔だけはお日様が大好きなのでしょう! カンカン照りの太陽を一杯に浴びて毎日毎日次々と花を咲かせてくれます。寝苦しい熱帯夜から目覚めて一番先に向かうのは朝顔のところです。深呼吸をしながらおはようと言いながら花の数を数えることで 「さあ今日も一日頑張るぞ!」 と気力を貰うのです。 時に夏の花は一生懸命に逞しく色美しく咲いているのに暑苦しく感じられることもあります。朝から咲いて昼にはしおれてしまう朝顔のようなはかなさもまた日本人好みなのでしょうか?                         「たくさん咲いてね」 と語りかけながら朝夕に水やりをしています。 AZ