シンゴ旅日記インド編(その72)マンホールもいろいろの巻

私の会社は鋳物製品を作る機械の製造販売です。仕事柄、鋳物製品にはつい目が行ってしまいます。日本ではマンホールは鋳物製品のひとつです。下上水道、電話線などのあのフタです。ということは、ある程度インフラが進まないとマンホールにはお目にかかれません。 日本ではマンホールも実用一点張りでなく。各市町村でそのデザインが違います。 マンホールを絵画みたいに扱う国は他にもあるのでしょうか?日本人の美意識が嬉しいですよね。道路が美術館みたいです。   岡崎市以外の町のマンホールをご紹介します。 インドのマンホールを捜してみました。 アパートには四角いコンクリートのフタがありました。近くの道路も四角いコンクリート製でした。 インドには丸い鋳物製のマンホールがないのかなと思ってあちこち歩いてみました。 丸いものもありますがみなコンクリート製なのです。こちらの人に聞くと昔は鋳物製であったが、お金になるからとみなが盗んでいったのでコンクリート製になったとのことでした。昔の建物などにはまだ鋳物製のマンホールが残っているそうです。  

新加坡回想録(33)ホーカーセンター

シンガポールに来るとホーカーセンターという言葉をよく耳にする。英語の”Hawker Center”のことで露店商とか屋台商が集まったところの意味で観光客も必ず訪れる場所である。初めて行ったのはマレーシアへの出張の帰りに駐在員に連れて行ってもらった時だった。 かつて路上で食べ物の屋台を出していたホーカーズを、政府が衛生上あるいは交通の障害になるということで一箇所に集めたのがホーカーセンターである。その中でも市内最大で一番有名なのがニュートン・サーカスである。100件余りの店やテーブルが所狭しと並び中国料理を始めマレー料理、インド料理、インドネシア料理、ニョニャ料理まで色々な国の味を楽しむことができる。 オーチャード通りから北へ約15分歩いたところにあり、地元の人や観光客でいつも賑わっている。一番活気があるのは夕方から夜にかけての時間だ。それぞれの店から聞こえてくるジュッ、ジューという料理を作る音と美味しそうな臭いでお腹がグーッと鳴ってくる。 注文の仕方はまず外のテーブルを決め、各店で食べたいものを注文して数と値段を確認したら自分のテーブル番号を言う。勘定は料理が運ばれてきた時に渡せばよい。各店でお金を払うこと以外は、今でいうところの「フード・コート」スタイルだ。 確かにシンガポール的な風景で、ある意味では楽しめるかも知れない。しかし、中にはメニューを置いていない店もあり日本人にはジャパニーズプライスがあり、結構高い料金を請求されることもあった。はたして今はどうなのだろう。 またシーフードは概して生きが良くないこともあった。ここで食べるよりイーストコースト・シーフードセンターで食べるほうがずっと新鮮で安かった。ニュートンサーカスでは焼きそばとかラーメンぐらいにしておいた方が得策かもしれない。(昔の話なので、最近の事情をご存知のかたは教えていただきたい。) (西 敏)

追憶のオランダ(50)GLASBAKービンのリサイクル

GLASBAK(グラスバク)、耳慣れない言葉でしょうね。Glas はガラス、Bakはコンテナーの意。つまり、これはガラス専用のリサイクルのための回収ボックスなのです。オランダの街角のあちこちにおかれていて、近所の住民は不要になったガラスビンなどを家から持ってきて捨てます(正しくは、リサイクルに回します)。それぞれの地方自治体ごとにリサイクルの方法が細かくきまっていて、GLASBAKはその形・大きさ等様々なものがありますが、いずれもかなり大きな頑丈な(多分鉄製などの)コンテナーで、その投入口がビンの色別に投入口が分かれていました。透明・緑(青)・茶色の3種類。このGLASBAKは普通の家庭ごみと同様定期的に地方自治体の回収係が来てコンテナーごと回収専用車に付いた重機で釣り上げ、中身を回収していきます。ガラス類のほか新聞紙などの紙類、衣類専用のリサイクル用の回収ボックスなども設置されています。 また、家庭の一般ごみについては下に車が付いた大きなプラスチック製のごみ箱が各家庭に配布されていて、指定回収日に玄関先に出しておくと、これまた回収車が来て付属の機械でゴミ箱ごと持ち上げ、内容物をバサッと車に投入、回収してくれるシステム。 ビールなどの特定のビンの回収はスーパーなどに専用の回収ボックスが設置されていることが多く、空ビン一本当り何セントかが返金されるシステムになっていた(ビンの裏のラベルには返金を受けられる金額が書かれていました)。そのボックスに入れると換金できるクーポン券が出てくるシステム。私の場合、ビールは大体がケース入りで近所の酒屋から配達してもらっていたので、この返金ボックスは使ったことがありませんでしたが。  

新加坡回想録(32)マレー語Ⅱ「キラキラ」「サマサマ」

シンガポール国民の約15%はマレー系の人で構成されています。マレー語で日常よく使われる言葉に「キラキラ(kirakira)」というのがあります。これは「およそ」「大体」「大まかには」といった意味です。英語で言うところの「About」に当たります。「キラ」の意味は「思う」「考える」ですが、二つ重なるとこのように変化します。物事に確信が持てない時や適当にごまかしたいな~という時にも使います。 この言葉から見えてくるマレー人の性格は、良い意味では「おおらか」「楽天的」「些細な事をいちいち気にしない」となります。南国の豊かな恵みの中でのんびり育ってきた人々に非常に当てはまるような気がします。 反対に、悪い意味では「いい加減」「おおざっぱ」「適当」といった風になります。几帳面な性格の日本人からすると時に、そのいい加減さにイライラしたり頭にくることもあるようです。しかし、日本人も「Yes」「No」のはっきりしている英語国民から「意味のわからない笑顔の曖昧さ」を指摘されたりすることがあるので、批判ばかりはできません。 「サマサマ(samasama)」は「お互い様」「一緒に」という意味です。「サマ」一つだと「同じ」という意味です。英語の「same」ですね。これを2回繰り返す事で「お互い様」と言う意味に変化します。「ありがとう(terimakasih)」と言われた時にその返答としても使われ、この時は「どういたしまして」と訳すのがいいですね。 この言葉から見えてくるマレー人の性格は、「助け合い」「共に」何かをしたい、という心の現れのようです。マレーシアでは近所、親戚、家族、そして村などの地区の中での助け合いを非常に大切に考えており、小さい頃からそういった環境の中で育っています。従って、何か困った事が起きたり、亡くなったような場合は驚くほどに助け合います。「相互扶助」の気持ちがとても強いように見えます。 尚、マレー語について書きましたが、「キラキラ」も「サマサマ」もマレー語とインドネシア語で共通です。どちらかの国で「テリマカシ(ありがとう)」と言われたらすかさず「サマサマ(どういたしまして)」と答えましょう! (西 敏)

追憶のオランダ(49)煙草の自動販売機

ヨーロッパはどの国へ行っても日本のように自動販売機(自販機)というものをあまり見かけません。あまりというよりも、殆どと言っていいでしょう。そこには販売についての宗教上のものの考え方が根底にあるとも言われています。もしかすると、間違っているかもしれませんが、休日には一部の例外を除いて、ほぼ完全に店を閉め営業はしないということともどこかでつながっているような気もします。最近でこそ、週末にも営業をする店が増えては来ましたが、以前は、旅行者にとっては殆どの店が閉まっていて週末は実に淋しいものでした。そんな週末、店が開いていないのに夫婦連れだってその閉まっている店のウィンドーの中の商品を見て回っているのを見かけ、これぞまさに「ウィンドーショッピング」そのものだと感心したことがありました。ドイツでのこと。 そもそも歴史的には自販機は産業革命後のイギリスで実用化されたらしいのですが、その後ヨーロッパではあまり普及しなかったようです。一方、日本ではアメリカの清涼飲料水が自販機で販売されたあたりから急速に台数・種類が増え始め、今やタバコ・清涼飲料・酒類・菓子・新聞雑誌・切符等、多種多様の自販機が街のいたる所に設置されています。聞くところでは、自販機による年間売り上げは5兆円とも言われます。 前置きが長くなりましたが、オランダの自販機事情についてです。オランダで最もよく目にしたのは、駅などにある小さなコインロッカーか下足箱のようなコロッケの自販機です。それ以外ではカフェバーなどでのタバコの自販機でした。それは、何か横長くて一見ジュークボックスにも見えるようなもので、いろんな銘柄のタバコの箱の絵が表示してあります。左の写真はイギリスのものですが、これと似たような形式のものでした。当然硬貨(紙幣は使用できなかったと記憶している)を投入してその絵を押すとそのタバコが出てくる。ここまでは、日本程洗練されてはいないが一応自販機です。しかし、その自販機で使える硬貨が限定されているのです。そして驚くことに、つり銭のシステムがないのです。正確なことは忘れましたが、使える硬貨は5ギルダーと1ギルダーのみだった。 例えば、5.5ギルダーのタバコはどうやって買うの?それは、6ギルダー分を入れるのです。すると、なんとタバコの箱に25セント硬貨が2枚テープで張り付けられたのが出てくるのです!つまり、この自販機にはつり銭の機能がないからこうなのです。タバコの価格が値上げされれば、その都度貼り付けるつり銭の金額も変わるということなのです。ただ残念ながら、つり銭の硬貨を貼りつけられたタバコの証拠写真を残せていません。 この当時はこの自販機につり銭機能をつけた新しい自販機に設置し直すよりも、つり銭を貼りつける方がコスト的に安かったということかもしれませんが、日本ではちょっと考えられない事ですね。ただ、それは20年以上前の昔話ですから、今はもうつり銭機能が付いた新しいものが設置されているのかもしれません。 それと関連したことで、一つイギリスでの面白い話です。 日本からの出張者と一緒にイギリスに出張に行ったときのこと。彼は自販機を見つけ一箱買ってきたのはいいのですが、20本入りのはずが、本数が少ないのです。タバコが値上げされて間がない時のことだったのでしょう、まだ、自販機には値上げされる前の金額が表示されていて、買う人は旧価格の硬貨を入れるとその自販機からは従来のようにタバコは出てくるのですが、その箱には20本ではなく本数を値上げ分減らされて、16本入りの箱が出てきたのです。これは考えたな、と思いましたが、はたしてタバコの製造段階で本数を減らすか、自販機の設定を変更するか、どちらが合理的なのか?おそらく、国中に数多く散らばっている自販機を調整する手間よりもタバコ製造会社の生産ラインで本数を減らす方がコストがかからないということではないでしょうか。これも、証拠写真を残しておくべきだった・・・。

新加坡回想録(31)マレー語I

「トゥアントゥアン・ダン・プアンプアン、スラマッ ダタン クー・・・」 「Tuan-tuan dan puan-puan, selamat datang ke penerbangan Malaysia MH779 ke Kuala Lumpur!」 みなさんもお聞きになったことがあるでしょう?これはマレーシア航空の機内放送で流れる言葉で何度も聞いたので今でも耳から離れない。意味は知らなかったが、場面が場面だけに「レディーズ・アンド・ジェントルメン、マレーシア航空へご搭乗いただき・・・」の類であろうと容易に推測できた。語感からして多分「トゥアントゥアン」がGentlemenで「プアンプアン」の方がLadiesだろうと思ったら果たしてその通りだった。 現地の人はもちろん、日本人駐在員とその家族にとっても馴染みの言葉で、日ごろ東南アジアでの移動にマレーシア航空を利用すると必ず上記の機内アナウンスを聞くことになる。この「Tuan-tuna dan puan-puan」が、英語では「Ladies and Gentlemen」と女性が先に来るのと順序が逆で、日本語の「紳士淑女」の順番と同じなのが何だか面白い。 マレー語と聞いてみなさんがまず思い浮かべる言葉はなんでしょう。「オラン・ウータン」ですか? それとも「マタ・ハリ」でしょうか? マレー語が話題なるとき、何と言っても「オラン・ウータン(orang utan=森の人)」と応える人が多いと思います。動物園でもよく見かける人気者であるし何よりもまず子供でも知っているので代表的な言葉として紹介されることが多い。 大人になって歴史や小説に興味がある人にとっては「マタ・ハリ(Mata Hari)」がすぐに浮かぶかもしれない。「太陽」あるいは「日の眼」を意味するマレー語で、世界的にもっとも有名な女スパイの代名詞である。「マタ」は「目」のこと、「マタマタ」といえば「警察」を意味している。常に目を見はらして国民を守っているからだ。 マレー語は言葉の絶対数が少ないので、上記のように同じ言葉を繰り返すことで別の意味を表すことが特徴の一つといえよう。他には雑誌の名前でおなじみの「じゃらん」(jalan)は「~通り」や「行く」という意味だが「jalan jalan」と重ねると「散歩」の意味になる。「orang」は「人」で「orang orang」は「人々」、「pagi」は「朝」で「pagi-pagi」は「早朝」と言った具合だ。 マレー語は発音が日本語に近いので、日本人には易しい言葉だと言える。現地で暫く生活すれば言葉を覚えるのも早い。「nama(名前の意)」が日本語の「名前」と英語の「name」の両方に似ているのが面白い。覚え初めに必ず教えられるのは「チンチン」だがこれは「指輪」を意味する。因みに、タイ語で「チンチン」は「本当に」という意味である。こうして、「ことば」に対する興味がどんどん広がっていく。 (西 敏)

追憶のオランダ(48)アウデワーターの非魔女証明書

アウデワーター(Oudewater)は、ハウダ(Gouda)とユトレヒト(Utrecht)の間にある小さな町。しかし、小さい町ながら昔から「あること」で有名なのです。 皆さん、話には聞かれたことがおありだと思いますが、中世のヨーロッパでは天災・疫病・飢饉などの災害は魔女の仕業だと信じられ、そのために何万人という女性が魔女として命を奪われた歴史があります。誰かが、「あれは魔女だ。」と訴えると、その人は裁判にかけられ、魔女と認定されたら火あぶりなどで処刑されたり、あるいは裁判なしに魔女としてリンチで殺される、ということがあったようです。いわゆる魔女狩りです。単に宗教上の問題だけではなくそれ以外のいろいろな要素が混ざり合っているようですが、この時代の言わば集団ヒステリーのような状況であったと思われます。 その裁判の一つとして、魔女というのは体重が軽く、ほうきに乗って空を飛ぶということが信じられ、そのため嫌疑をかけられた人はてんびん秤で体重を測られます。軽いと魔女にされます。しかし、ここで告訴した人と体重を測る役人がグルになればどんな変な結果でも出すことが可能です。つまり、役人を買収すれば、告訴した人に都合の悪い人は魔女として抹殺することができるのです。さらに言えば、宗教上の問題に見せかけて、あまりその社会になじめていない人とか、単なる金銭トラブルを起こしてしまいそれを帳消しにするため相手を魔女として消し去る、というようなことも多かったともいいます。そのために役人に賄賂が使われるというようなことが横行していたということです。ひどい話では、大人の女性で体重が数キロと測定され魔女として処刑された記録も残っているそうです。あり得ないことが起こっていたのは、まさに狂気の沙汰、でも渦中の人々はそれと気づかないのです。 しかし、ここアウデワーターでは歴史的に一人の魔女も出していません。なぜなら、この町の裁判に使う秤が正確で、しかも裁判を行う役人が非常に清廉潔白な人が多く、賄賂が一切通用しなかったからということのようです。それで、時の神聖ローマ皇帝が全ヨーロッパに通用する「非魔女証明書」の発行する特権をアウデワーターに与えたそうです。そのため、オランダ以外からも多くの人が証明書を得ようと押し寄せたと聞きます。 さて、肝心のそのてんびん秤、現在も何代目かの木製のものが保存されていて、一見ブランコのように見えますが、町の観光資源として公開されています。そして、希望なら体重を測ってもらいその場で「非魔女証明書」を発行してくれますが、どうされますか?