シンゴ旅日記インド編(その28)事務所こぼれ話の巻

会社で使うファイルをスタッフと一緒に買いに行きました。 10冊は必要でした。その店には在庫が3冊しかありませんでした。 『じゃ、とりあえず3冊買って帰ろう』 これが日本人の発想と思います。 うちのスタッフは違いました。 『在庫を仕入れてもらって10冊まとめて買いましょう。 そのほうが値引き幅が大きいのです。』 どうして、必要だから買うという発想がないのでしょうか? 結局その日は何も買わずに事務所にもどりました。   日本に一時帰国する前に妻や娘たち女性陣へのお土産を買い行きました。 お土産としたのはやはりパンジャビ・ドレスです。スタッフが同行してくれました。 お店の二階の商品売り場で商品を選びそれを持って一階のレジへ行きました。 同行したスタッフが言いました。『まだお金を払わないで下さい。』なぜ? そして彼は誰かと電話をし始めました。 店の人は商品を一品一品レジで打っています。 スタッフが電話を終わり、レジの人と何か会話をしました。 そして請求書が来ました。少し値引きがしてあります。 店を出てからスタッフが言いました。 『この店のオーナーは私のおじさんの知り合いです。 通常は値引きに応じませんが、おじさんに頼んで安くしてもらいました。』 それが2%の値引きなのね。 そんなに沢山は買っていないけど、ありがとう。   10月に10日間ほど一時帰国でインドに戻りました。 帰って来てからなんとなく仕事をするリズムが違いました。 それはチャイ・ボーイが午前と午後に来なかったのです。 チャイ・タイムが無かったのです。 スタッフにチャイ・ボーイはどうしたの、体調でも悪いのと聞きました。 スタッフは彼が田舎に帰っているらしいと言いました。 数日してチャイ・ボーイが久しぶりに事務所に来ました。 アレッ、何か違います。髪の毛がなく、坊主になっています。 どうしたのと私がスタッフを通じで聞きました。 田舎のお寺に髪の毛を寄進して来たと言いました。 私ももう少し薄くなってきたら坊主頭にしようと思っています。   そして午後に事務所の外から太鼓の音とパチン、パチンという音が聞こえました。 何だろうと表に出ました。 一人の女の人が太鼓を叩き、上半身裸の子供が長いムチを体を巻くように強く振り回して歩いていました。 そのムチが最後に音を出すのです。 インドでは苦行者がいます。 サドゥと呼ばれます。 本物のサドゥもいれば観光地でお金目当ての人もいます。 見分けがつきません。 でも今回は明らかに見分けが付きました。 10ルピー(20円)渡して写真を撮らせてもらいました。     田舎町に一泊で出張するためうちスタッフがホテルに予約電話を入れていました。 『エッ、マダーム、なぜ一泊なのに二日分の料金を取るの?そんな話聞いたことないよ。』   『社有車のエアコンのガスが無くなったので充填に行ってきます。』 運転手が総務担当を通して私に言ってきました。 最近は朝晩の通勤時しか社有車を使っていませんでした。 それでエアコンが効いていないのをあまり気にしていませんでした。 毎朝の朝礼でスタッフ各人の一日の行動予定を発表するようにしています。 しかし、今朝の朝礼で車のガス充填の報告が総務担当からありませんでした。 私としてはスタッには計画を立てて毎日、毎週の仕事をするように言ってあります。 私は『急に言われても許可しません。計画を立ててやりましょう。』と伝えました。 『車のメンテ日誌はどうなっていますか?前回はいつ充填しましたか』と聞きました。 ガスの充填は今回が初めてとの返事でした。 私と営業スタッフは二日後に車で片道3時間掛かるムンバイに出かけることになっていました。 しかし、私は駄目と言った以上後には引けませんでした。 翌朝になって私は運転手に午後にエアコンの充填に行って来なさいと伝えました。 しばらくして運転手が報告に来ました。 業者は手一杯で今日はガスの充填が出来ないと言っていますとのことでした。 その次の日のムンバイ往復は熱いドライブとなりました。 ガスの充填はその週の土曜の半ドンの日に無事行うことが出来ました。今は窓を開けなくても良いムンバイ行きです。

コッツウォルズ紀行㉘~旅程変更で自由旅行を満喫!

1999年に、自ら企画、実行したイギリス自由旅行記「コッツウォルズの歩き方」を掲載しましたが、実はこの旅行についてのいくつかのエピソードや感想があります。随分と昔の話で恐縮ですが、書きためたものをいくつか紹介していきます。 —————————— 旅程変更で自由旅行を満喫! カッスルクームからバイブリーに至る田舎路をドライブするうちに、中世から脈々と伝わるコッツウオルズの村々の美しさや、その落ち着いた雰囲気にどっぷりと漬かってしまった。事前に調べた目的地に行って建物やアトラクションを見学するよりも、こうしてゆっくりとドライブすること自体が素晴らしい観光旅行であると思えてきた。 人工的に造られたものへの抵抗感みたいなものが心の中で次第に広がっていった。自然というものに感動を覚えるのも久し振りだ。こんな気持ちになれるところがほかにあるだろうか?ほんとうに来て良かったと思う。 さて、レンタカーによる旅は時刻表というものがなく、移動の時間が読みにくい場合が多い。慣れない土地での交通事情や突発事故による遅れを考慮に入れて、無理のない計画を立てるのがいいだろう。今回はまさしく、初めてのコッツウオルズだったので途中で迷うこともあろうし、田舎路でのドライブは時間がかかるだろうと思っていた。 ところが、1日目、ヒースロー空港からコッツウオルズの中心部まで思いのほか短時間で来れた。また、人工的な作り物より本物を見たいという気持ちから、ボートン・オン・ザ・ウオーターにあるモデル村(中世の村を再現したもの)やCotswolds Perfumeryへの訪問を取りやめた結果、約半日分、時間に余裕が出来た。 そこで、2日目に訪問予定のチッピングカムデンとヒドコート・マナー・ガーデンをこの日のうちに廻ってしまうことができた。こんなことが出来るのも個人旅行のいいところだ。まさにツアーではない自由旅行を満喫できたと思う。

追憶のオランダ (2)中華料理?それともインドネシア料理?

中華料理だけは世界の果てに行っても食べられる。もちろんオランダでも中華料理は食べられます。しかし、中華料理といってもちょっと違うのです。もちろん、本格的な中華料理のレストランもあるにはありますが、オランダでは大体「インドシネース料理」というのが一般的な中華料理なのです。それは、純粋の中華料理というものではなく、インドネシア風にアレンジされた「インドネシア風中華料理」で、さらにオランダ人の口に合うようにもう一度アレンジされているものなのです。日本人の感覚からすれば、香辛料の使い方などから見て、中華料理というよりもインドネシア料理そのものだよと言いたくなります。実際、ナシゴレンとかバミゴレン、さらにサテ等々、まさにインドネシア料理そのものです。 それもそのはず、オランダは400年近くもインドネシアを植民地にしていたこともあり、料理にしても結構馴染み深いものになってしまっています。例えて見れば、イギリスのインドカレーみたいなものです。今や、すっかり旧宗主国の料理として定着しています。 ロッテルダムの中心に近いところにクラーリンゲン・プラス(Kralingen Plas)という大きな池(泥炭を掘り出した後の窪地に水がたまった池)がありますが、その傍らに屋根の端が細く空に反り返って突き出したインドネシア風の建物があり、ここは正真正銘のインドネシアレストランです。そこの主人は国籍までは分かりませんが本当のインドネシアのミナンカバウ族の血が流れている人なのかもしれません。レストランの名前が「ミナンカバウ」なのです。 残念ながら、20年くらい前、風格のあった建物は火事ですっかり焼け落ち、後に新しいものが再建されたと聞きますが、まだ行ったことはありません。この写真は新しい建物です。

シンゴ旅日記インド編(その27)問題ない問題の巻

日本は個人も国も何故か『すみません』『ごめんなさい』と言うのが好きな国です。 いろんな国に出張したり、住んだりしてよく経験するのが、どの国の人も約束の時間を守らない、レストランで注文した料理が違って出てきてもすみませんと言わないことです。 そして、問題があるのにどこの国の人も『No problem』という言葉を使います。   タイのレストランで、ウエイトレスがトム・ヤム・クンのスープを持って来て、テーブルに置く前に私のズボンの上にスープを少しこぼしてしまいました。 タイ語で『コー・トー・カァー(すみません)』と言うかと思ったら『マイ・ペン・ライ、カァー』でした。 マイ・ペン・ライ=No Problemなのです。 オイオイ、君にとってはマイ・ペン・ライでも私にとっては問題ありなのですよ。 この国は女性が話す時は接尾語を付けて『カァー』と尻上がりに発音します。 すると、こちらは彼女たちの笑顔を見て何でも許してしまいます。 なお、男性は言葉の後に『カッ(プ)』をつけます。   インドネシアでは『ティダ・アパ・アパ』です。 ゴルフをインドネシアで覚えました。 私の打ったボールは大きく右にそれてブッシュに入りました。 前に進んで行くとキャディさんがボールがあったと言いました。 そして私の目の前でフェアウェイに手で投げて入れてくれました。 ノーぺナと言います。本当?コレって2打罰じゃないの? 返ってきた言葉が『ティダ・アパ・アパ』でした。   韓国では『クンチャナヨー』です。 初めて韓国に出張で行った時、昼間の会議は英語でした。苦労しました。 夜になって食事会となり、相手の韓国の人から『今日はお疲れ様でした。』と流暢な日本語で 話しかけられ、その後は日本語で酒盛りでした。 昔は韓国の人が仲間の前で日本語を話すことは日本の犬と見られていた時代の話です。 今は違うのでしょうね、韓国の人が日本の演歌を歌っても『クンチャナヨー』でしょうね。   中国では『メイヨーカンシー』です。 よその国に平気で入って来て、事実上自分の国土にすることは昔からの方法なんでしょうね。 コレって国際問題ですよ。でも、きっと彼らは言うのでしょうね。『メイヨーカンシー』って。   インドではクビを横に器用に振り振りして言います。『ノー・プロブレム』 よく日本人の間で言われます。『プロブレム ノー・プロブレムが プロブレム』 丹羽 慎吾

コッツウォルズ紀行㉗~レンタカー事件!

1999年に、自ら企画、実行したイギリス自由旅行記「コッツウォルズの歩き方」を掲載しましたが、実はこの旅行についてのいくつかのエピソードや感想があります。随分と昔の話で恐縮ですが、書きためたものをいくつか紹介していきます。 —————————— レンタカー事件 旅も残るはあと一日、明日の夕方にはヒースロー空港を飛び立って帰国の途につくという日のことでした。旅行費用を出来るだけ抑えつつ自由旅行を楽しむという企画はうまくいったのだろうか。少し余計な買い物をしすぎたかなと思いつつ、残金と領収証のチェックを始めた。 二日前のチェックでは40ポンドほど計算が合わず、スッキリしないままでいたのだが、それはストラットフォードで飛び込みで泊まったB&Bの宿泊料だとわかった。レシートを貰わなかったために忘れていたのだ。 やっと計算があったとホットした瞬間に、ふとレンタカーのレシートが目に入った。なに? 合計206ポンド!? あれ、ちょっと高過ぎないか。たしか170ポンドほどのはずなのにと思いつつ明細をチェックしたところ、よくみるとFuel Purchase Option 29ポンドとある。満タンで返したのにガソリン代が請求され、しかも支払ってしまっている。そんな馬鹿な! あの時、ヒースローで満タンで返すといったらOKといったじゃないか。 これじゃ詐欺だ~! 車を返した時にレシートをチェックすべきだった。 その時点でクレームしておけばこんなことにはならなかったのに・・・と後悔する。悔しい!日本で事前予約した時に、保険のことや、道路税のことなど説明があったが、そういえばガソリンのことは一切何も聞かなかった。電話ででも出来る予約を、初めてだからわざわざ事務所まで来ましたという客に対して、日本の満タン返しと全く違う方式を説明しないのはレンタカー会社も不親切である。 冷静になって考えてみよう。 確かに、最後に領収書に目を通さず何のクレームもしなかったのは当方の不注意だ。しかし、客が「満タン返し」といったことを確認して契約書を作っておきながら、ガソリン代を請求しているのは完全に先方の不注意ではないか。契約書のコピーをよくチェックしたところ、Fuel Purchase Optionの欄にある accepted £0.58 p/L(+vat)の acceptedを一本の線で消してある。更にその上に先方の事務員の字で「RETURN FULL」と書いてあるではないか。 ストラッドフォードで最初に満タンにした時のレシートも、返す直前にヒースローのBPで満タンにした時のレシートも幸い残してある。よ~し、これだけハッキリ証拠があればクレーム出来るだろう。帰国時に空港のHertzに立ち寄ってクレームしようと心に決めた。 さて、帰国当日の午前中はほぼフルにBritish Museumで過ごし、いよいよ帰国の為ヒースロー空港に行く。今回の自主企画の旅はすべて順調にいったのに唯一失敗したのがレンタカーのガソリン代二重払い事件である。これが解決しないといつまでも心に引っ掛かりが残り気分が悪い。 昨日ホテルで決心した通り、勇んでHertzの空港カウンターに行った。実際に車を借りたのは、空港からバスで5~6分のところの事務所だが、この時は時間節約のため空港内のカウンターに行った。3組ほど先客がおり、並んで待つことにした。 一組の手続きが終わるのに大変な時間がかかりあっというまに30分が過ぎた。こんな事をしていると出発に間に合わなくなる。いらいらしながら待たされてあと一人になった時にはもうチェックイン直前の時間となった。 前の中国人にわけを説明したら快く順番を譲ってくれて感激した。さて、すべての事情を説明すると、ちょっと待って下さいといって、目の前のパソコンにカタカタ打ち込んで調べている様子だったが、結局返事は「ノー」だった。理由は、事件はすでに3日前のことでパソコンにデータがなくチェックできないという。この回答には驚いたと同時に落胆した。 明らかにダブルペイメントです。腹の虫がおさまらないので、一目瞭然の証拠書類を見ても対応しようとしない事務員に、次の事を口早に言い残して立ち去りました。 1) 「契約書の中の acceptedを消した線と その上に書いてある「RETURN FULL」はいったい何だ? これを書いたのは私ではなくお宅の事務員だよ。 2) Petro Stationに支払った時のレシートも全部あるぞ!。 3)お宅の会社のこのナンバープレートの Toyota Corolla 1600はリッター当り何マイル走るかわかるだろう?Corollaを返した時に記録されていた走行マ イル数をリッター当りのマイル数で割れば、合計何リッター必要であったかわかるはず。 4)これらの事実を勘案すれば、私の主張することの正しさが証明されるはず。 と、口角泡を飛ばし説明した。結局、あとは帰国後に、日本Hertz経由でクレームするしかなくなりました。 帰国後、まもなくして日本Hertzへ行き、上記の事情をすべて説明しHertzロンドンにクレームを要請した。 時間がかかるかもしれぬがやってみるということだった。思いのほか早く1週間ほどで結論が出た。結果は、大勝利!かくして二重取りされたガソリン代は返却されたのでした。 日本Hertzの言うことには、契約書に acceptedを消した線と「RETURN FULL」の文字が鮮明に残っていたから取り戻せたが、これがあいまいであったなら無理だったでしょう・・・とまるで他人事である。結果的には、溜飲を下げることになったが、もしこの二重払いが返却されなかったら、ホームページで世界に向かってこの事実を発信してやろうかとまで考えました。でもそのような行為は、時にクレーマー扱いされそうだし、幸いそうはならなくて済んでよかったと思いました。 みなさん、この話はこれから海外でレンタカーを借りる時にきっと何度も起こる話だと思います。そしてこのような場合、日本人は「まあいいか仕方ない」とあきらめてしまう傾向にあるような気がします。正当なことは諦めないで交渉しましょう。 念のために書き添えますと、返却時にガソリンがどれだけ残っていても、その分はレンタカー会社のものになり、返金は一切ありませんのでご注意を!

荻悦子詩集「樫の火」より~「徴」

文芸館では、これまで、荻悦子さんの詩集「流体」に収められた詩を紹介してきました。今後は、年に出版された詩集「樫の火」(思潮社)に収録された作品を順次紹介していきたいと思います。   徴(しるし)   夕ぐれ 空に仄白い光が瞬いた 金木犀の香りが漂ってくる 彼方にもうない源 徴を目にしたとき ことは 既に終わっていた 橙色の細やかな花がこぼれる 無くなった 失くしたすべて 落ちた花が樹の下に円く広がり 空に残滓が光って走り抜ける ことは私たちの外にあり そのように 初めから私たちは組み込まれ 昼と夜とを果てまで水が尽きるまで 回転しながら 螺旋状に巡りながら 突き進む渦巻の一点で樹が生い私たち どことも知れない縁へ逸れていく この星に錘を垂らし私たち 夕ぐれの空に遠い仄白い徴を追う 樹から花がこぼれ濃く匂う 荻悦子(おぎ・えつこ) 1948年、新宮市熊野川町生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。作品集に『時の娘』(七月堂/1983年)、『前夜祭』(林道舎/1986年)、『迷彩』(花神社/1990年)、『流体』(思潮社/1997年)、『影と水音』(思潮社/2012年)、横浜詩人会賞選考委員(2012年、16年)、現在、日本現代詩人会、日本詩人クラブ、横浜詩人会会員。三田文学会会員。神奈川県在住。

追憶のオランダ (1)実質本位の国

皆さん、再びオランダの話題で恐縮です。 私がオランダ勤務を終えて帰国したのは1998年ですから、もう20年以上昔のことになります。オランダという国は非常に保守的な面もあると同時に、結構大胆に新しいものにチャレンジする精神も持ち合わせており、しばらく見ぬ間に街そのものの姿やそれを支えるシステムやインフラなどが様変わりしていることがあります。おそらく、私など今オランダに行くと、もう浦島太郎状態かもしれません。「10年ひと昔」と言いますから、ふた昔前の昔話になるかもしれませんが、しばらくお付き合いください。   1.実質本位の国 オランダの特徴を一言で言えば・・・。 私なら「実質本位の国」と言います。大多数の国では今や非合法になってしまったこと(昔はどこの国も合法だったこと)が、いまだに合法のままで通っていることもいろいろあるし、また反対に昔はどこの国も非合法だったことをいち早く合法化していることもあります。ということで、一見、融通無碍、平たく言えば「何でもありの国」のように見えなくもありません。まず一番に思い浮かぶのは、ドラッグ・公娼制度。さらに早々と同性婚・安楽死などが合法化されているのはオランダならでは、ということになるでしょう。 これらは、どれをとっても賛否両論のある非常に難しい問題でもあり、単純にああだこうだと決めつけられない問題でもあると思います。その意味でオランダ人の考え方が実質本位であり、しかも非常に柔軟(見方によっては柔軟過ぎるとも言える)であることの証拠でもあります。一体なぜオランダは他の国々から非難を浴びながらもそれらを変えようとしないのか。それには彼らに一理も二理もありそうです。その点は、観念的、情緒的な考えに基づいて議論し合っても、お互いなかなか理解し合えないかもしれませんが。 この実質本位というのは、オランダ人の衣食住の普段の日常生活にもよく表れています。 「衣」は、まず、あまり飾りません。一般に地味ですが、意外に色使いなど原色を結構多用することが多く、どちらかと言えば奇抜な感じさえします。でも、衣服は、基本的に暑さ寒さを調節するものという点に徹していて、実質本位と言えるでしょう。 「食」も、然り。とりたてて美食を追及するとういうことは少ないように思います。一日のうちの食事でも暖かいものを食べるのは夕食だけ。年中同じものを食べても特に不平はない様子。日本人のように、今日は和食、明日は中華だ、それともイタリアンだというように外国風の料理を食べたがることもあまりないようです。これも、食は体を維持するに必要なものを食べればよいという、これまた実質本位。 「住」は、持ち家だろうが借家であろうが、自分たちが快適に住むためには、自分流に好き勝手に手を加え整えるのが一般的。床・壁・家具、さらには電気・水回り等、まさにDIYの見本のような生活。やはり、これも実質本位。 生活態度については、個人でそれぞれの考えはあるでしょうが、仮に何かちょっとした問題が発生しても、それが決定的・致命的な事でさえなければ、それこそ実質本位に処理してしまいます。ある意味、なし崩しで適当に処理してしまうことも案外多いのです。意地悪く見れば、誰も実質被害がないなら、そんなことなどいい加減に片付けてしまう。結構、雑な感じもしないではないですが、形式張らずに融通がきくところがあり、私個人としてはこのオランダ人の生き方、案外気に入っていました。

シンゴ旅日記インド編(その26)我輩は牛でんねん ドリアンの巻

あんさん、どうしました?何か不思議そうな顔してまんな。 さっきからお店の果物ばっかし覗いて歩いてますがな。 エッ、ドリアンがないのかってですか? ドリアン、そりゃどんなモンですか? 果物で、トゲトゲがあって、臭い匂いのするモンですって? それやったらアレとちゃいまっか? あれとは違う。あれはジャックフルーツやないかって? 同じモンとちゃうのでっか? エッ、全く別モンですか。 インドネシア、シンガポール、タイなどアジアにはどこでもドリアンがあるんですか。 ドリアンは昔の人は借金してでも食べたってですか?ホ~ン。 そんなら、マンゴスチンはあるかって? マンゴはありますが、グフッ、チンが付くものはおませんな。 エッ、ドリアンが果物の王様、マンゴスチンは女王様って言われるんですか? インドで言うたらフルーツのマハラジャ、マハラニでんな。 その王様と女王様はインドではきっと育たんのでっしゃろな。 果物ゆうたらインドはマンゴの宝庫でっせ、何千種類とありまっせ。 この辺りで有名なんがアルフォンソ・マンゴですわ。 これはマンゴのマハラジャでんがな、盛りは5月頃からでっせ。 デリーではその頃にマンゴ展示会があって、美味しい料理の仕方も発表されるんでっせ。 エッ、昔マレーシアでマンゴー・ライスを食べたことがあるってですか。 甘く炊いたもち米とマンゴの味が絶品やったってですか?ホ~ン。 マンゴいうたらインドの国の果物、国果でんがな。あんさん、日本の国果は何や知ってまっか? エッ、知らんのですか?オトンが言ってましたで柿でんがな。パーシモン。 インドには柿がおませんのや。そやから我輩は見たことありませんのや。 生でも、干しても食べられるってオトンが言ってましたで。 秋から冬がシーズンですってね。 そんなら日本の国の鳥が何や知ってまっか?国鳥。 鶴やないかって、違いまんがな、キジでんがな。 インドも同じキジの仲間の孔雀でっせ。共通項がありましたな。 このキジの仲間を国鳥にする国はアジアに多いんでっせ。 他にはタイ、ミャンマー、スリランカ、パキスタン、イラクなんかでっせ。 そんなら国の花は何です?インドは当然、お釈迦さんで有名な蓮でっせ。 日本は菊でっか、それとも桜でっか?エッ、よう分からんてですか? オトンもようわからんって言ってましたわ。昔は天皇さんで菊、今は平和で桜でっしゃろな。 外国に出ると言えば日本でも最近は外国人観光客が増えているそうでんな。 エッ、そんで喜んでいるところもあるが、迷惑しているところもあるってですか? 何で迷惑なんですか? 特にお隣の国の人は大声でしゃべるし、旅館では料理が少ないと騒ぐし、そんで食べモンが並んでいるお店では手で突っついて味見するんですって。 そやから店の人も困って『日本人専門店』の張り紙をしたとこもあるってですか?ホ~ン。 そやけどそんなんして国際問題になりませんか? そやけど、『お客様は神様』でんがな。 そう言えば、ようありますやろ、『お客様第一』ちゅう標語が。 .アレってきっと『安全第一』から来たんでしゃろな。 でも標語ちゅうかスローガンは気を付けなあきませんで。 何でか言うと、その逆のことがあるから、スローガンにして、 それをせんようにしようとするからですわ。 タバコを吸っている人が『禁煙』、お酒を飲んでいる人が『禁酒』でんがな。 タバコ吸わん人とか、お酒飲まん人は禁煙、禁酒って言いませんわな。 事故があるから『事故ゼロ運動』、お客様を大切にせんから『お客様第一』とちゃいまんのか? エッ、えらいキツイ事を言うなあってですか? すんません、インドもそんな標語が多いんですわ。 でもインドの人が日本へ行ったら食べるモンがおませんな。 あんさんの隣の国の人は何でも食べますやろ。 4つ足で食べんのは椅子と机くらいやって言われますがな。 インド人はあきませんのや。日本にはベジ料理がありまっか。 エッ、日本でもチョット前まではほとんどがベジ料理やったんですか? 魚と鶏は食べていたけど、ほとんどが野菜やったんですか? 大豆が肉の代わりをしていたってですか?ホ~ン。 ショウジン料理いうて肉のない料理もあるってですか? ラーメンちゅう麺類には野菜ラーメンや、塩ラーメンや味噌ラーメンちゅうて肉を使わんものが多いってですか? エッ、ラーメンちゅうたらスープに茹でたタマゴメンが入っとるやつですか?ホ~ン。 ほなら、そのスープは何からつくるんですか? エッ、鶏や豚骨の出汁のスープが入って美味しいってですか? そりゃあきまへんがな。豚が入ったスープはインド人は飲めませんで。 エッ、ヒンズー教の人は牛はアカンけど、豚はエエんと違うのかって? ベジですから豚肉もアカン人が多いんですわ。ちゅうか、ブタさんな、見てみなはれや。 我輩らが口にせん、人さんのアレ食べてまんがな。 そや、あんさんのお隣の国では昔、家のトイレの下で豚を飼ってたちゅう話でんがな。 エッ、インドネシアでは水の入った田んぼに櫓が組んであって、そこに人が登って用を足すと下で魚がバチャ、バチャと。。。。。あんさん、もう、止めておくんなはれ。 何や、今日は臭い果物で始まって臭い話で終わりまんな。ホナ、サイナラ。   丹羽 慎吾

コッツウォルズ紀行㉖~アールズ・コート

空港から30分ほどでアールズ・コート(Earl’s Court)駅に着く。インターネットで初めて予約した海外ホテルであったが、情報に嘘はなく駅から徒歩2分で到着した。大きなトランクを引きずって歩くのは大変だし、かといって中途半端な距離をタクシーに乗るのもどうかと思うし、いろいろなことを考えていたが駅徒歩2分で助かった。電車を利用するなら、ホテルはやはり駅近くがいい。 「Burns Hotel 」は一泊ツインで£79。ロンドン市内では通常£100~150はするので安い方だが、それなりに部屋は狭くあまり優雅とは言えない。ホテルライフを楽しむ為の宿泊ではないのでこれで我慢する。荷物をホテルに置き早速外出。夕食までの時間を有効に活用してショッピングにあてる。なにしろ、日曜日は多くの店が休みで買い物出来ないので少しでも済ませておいた方がいいのだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 【お知らせ】ここまで私の拙い旅行記をお読みいただきありがとうございました。「コッツウォルズの歩き方」と題した旅行記は、ロンドン市内に戻ってきた今回で一旦終了となります。 引き続いて、旅行中のエピソードや思い出、ロンドン市内訪問中に感じたことなどを書いていきたいと思います。 西 敏